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メルマガ"絹の四方山話 >> バックナンバーNo.11〜15

-メルマガ"絹の四方山話 -バックナンバー No.1〜5 -No.6〜10 -No.11〜15 

-No.011 【てぐすの話】
-No.012 【 シルクの化粧品 】
-No.013 【バイオテクノロジー蚕】
-No.014 【ゴミから生まれた宝物】
-No.015 【髪のお手入れ】

No.011 【てぐすの話】
 ナイロンやポリエステルが生まれる前、釣り糸、魚網はもちろん、テニス用ラケットのガットや楽器の弦は何で作られていたと思いますか?・・・そうです絹で作られていました。
 その中でも釣り糸は絹のてぐすが透明度、当たりの良さ、適度の伸び、結びやすさ、解けにくさなどで重宝され、よく使われていました。 てぐすにも色々あって、テグス蚕とも呼ばれるフウ蚕(楓蚕)から作るのが本てぐすで、シラガタロウと呼ばれるクス蚕(樟蚕)、シンジュ蚕(真珠蚕)、家蚕からも作られていました。

 てぐすは、繭を作る前の熟蚕から液状絹をいっぱい満たした絹糸腺を取り出し、酢と食塩、あるいは稀酢酸などに浸し、強く引き伸ばすことで、丈夫な糸になります。 これを粗てぐすといい、次に水に浸し膨潤させ、金属板の穴にとうして均一にし、ワセリンを染み込ませたものが磨きてぐすに成ります。

 年々、渓流での鮎釣り、磯釣りなど釣りファンが多くなってきましたが、彼らが置き去りにしたナイロンてぐすは合成物なので、天然物と異なり分解せず、いつまでも残り、これが小鳥のくちばしや足に巻き付き、あるいはのみ込み、ついに小鳥を不具にしたり、さらには死に至らしめる事もあります。

 その点、絹で作られた天然てぐすならタンパク質のため、放置してもやがて分解して自然に帰ります。動物達に被害を与えることもありません。しかし、天然てぐすを工業的に生産する事は難しいため、自然に優しい絹糸を使った釣り糸は当然高価なものになってしまい、ついナイロンの釣り糸を使ってしまうのが現状です。
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No.012 【 シルクの化粧品 】
 シルクといえば着物や肌着と直ぐに連想してしまいます。現在では研究も進み、健康食品や化粧品などにも利用されています。では化粧品に絞ってみて、毛髪化粧料を含めるとかなりの数になります。逆に化粧品素材としてシルクがどのように使われているかを整理してみると用途によって色々な形で利用されていることがわかります。

 シルク化粧品はイメージアップを主な目的とする発想から始まったとも言われていて、今ではシルクの吸湿性が化粧品の保湿性向上となり肌や髪に潤いを与え、フィブロインの紫外線吸収性が肌や髪の損傷防止に役立つなど、肌や毛髪の保護機能を活用する使い方に変わってきています。言ってみれば、イメージ戦略でシルクを配合していたのが、研究するにつれ、シルク本来の良さに気がついたといった物でしょうか。

 また、最近では、ある種のフィブロインペプチドが、皮膚線維芽包細胞のつくるコラーゲン分解酵素の量を高める働きのあることもわかってきているので、シルク入りの化粧品がコラーゲンの代謝を通じて、皮膚の老化防止に役立つのではないかとの期待もされています。

 皮膚の老化防止にも役立つとなれば、やはり気になりますね!
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No.013 【バイオテクノロジー蚕】
 日本古来の蚕が最先端技術といわれているバイオテクノロジーの元祖だというと驚かれる方も多いかとおもいます。元祖とは言わないまでも明治末期から、バイオテクノロジーを使った研究がなされて来ました。

 バイオテクノロジーとは、「バイオロジー(生物学)」と「テクノロジー(技術)」を合成した言葉で、生物の持つすばらしい働きを上手に利用し人間の生活に役立たせる技術です。昔ながらの発酵や品種改良、現代の細胞や遺伝子を操作する最先端技術まで実に 様々な技術があります。このバイオテクノロジーを駆使して、蚕を「新しい絹を吐く昆虫」に変化させようとしています。

 例えば、異なる系統の蚕を交配して、丈夫な絹をたくさん吐く一代雑種の蚕を作ったり、オスとメスを見分けやすくする為、遺伝子を性染色体にくっつけるなど多くの事例があります。 現在も、新しい遺伝子組み替え技術を使って蚕以外の昆虫の遺伝子を導入したりして駆使することによってまったく新しい昆虫を作り出そうとしています。

 これらの研究が進めば、病気にかからない蚕、桑以外のいろいろな植物を食べて繭を作る蚕、少しの餌でたくさんの糸を吐く蚕などを作り出すことが出来ます。 これらは、生産性を高めることによって商品価格に反映するわけですが、なかなか思うようにはいかないようです。
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 No.014 【ゴミから生まれた宝物】
 紬の起こりを調べてみると、昔の人は蚕蛹(さなぎ)をアミノ酸バランスに優れた高タンパク源として栄養不足を補う為、食料収穫する為ではなかったかと言われています。今でも長野県内のスーパーなどで、佃煮のようにした蚕蛹のパック入りを見かけるそうです。では、なぜ食用の蚕から絹を生み出すことになったか・・・じつは思いもよらないところから生まれたのです。

 その昔、人と絹とのかかわりあいは、佃煮にように食べやすく加工したものでなく、生繭を味がなくなるまで噛み、汁を吸った後のかすを捨てているうちに、唾液混じりの崩れた繭殻が糸状に引き伸ばされることに、気が付き糸紬が始まったのではないかといわれています。

言ってみればゴミから生まれた宝物といったものでしょうか。

 もともと食料にしていた蚕の食べかすから織物に変化してきたなんて思いもよりませんが、それと同じように生糸を生成した後のワタボコリを集め、丁寧に紡いだ糸から、靴下や紬パジャマが生まれました。ワタから紡いだ糸の独特の風合いと、一見綿と見間違えそうですが、身に着けたときのシルク独特のヒンヤリ感が苦手な方に根強い人気があります。このように、蚕は余すところなく活用されているのです。
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No.015 【髪のお手入れ】
 最近、シルク入りのシャンプー・リンスがたくさんでています。その成分にはシルクに含まれているアミノ酸がどうも関係しているようです。アミノ酸が平均10〜20個連結したフィブロインペプチドは毛髪に吸収されやすく、石鹸、毛髪剤、コールドパーマ、ブラッシングなどによる損傷から髪の毛を保護する効果があり、セット剤として、特に高い湿度条件下では一般のセット剤(セット用樹脂、コラーゲンを材料とするペプチドなど)より優れたカール保持が得られるとの報告もあります。

 洗浄、すすぎ、保護、脱色、染色、セット理髪用の毛髪化粧料の水溶液を添加すると髪に張りを与えて弾力性を良くし、ウェーブ剤、毛染め、脱色剤による毛髪の損傷防止に優れた効果があるとされています。
その水溶液の成分がペプチドといわれ、シルク(フィブロイン)を部分加水分解しできたペプチド水溶液が毛髪化粧料として使われています。世の男性諸君!てっぺんが、ちょっと気になるお父さん!お兄さん!

 抜け毛などで困られている方の中には、以外とシャンプー、リンスなどが影響している場合もあり、一度シャンプー、リンスを違うものを使ってみるのもひとつでは・・・


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